グラミンハウス/解体終了
障害者に夢を与える、利活用建築の見本
旧超伝導システム科学研究センターの建物で通称グラミンハウスとよばれ、たくさんの方々に親しまれています。グラミンハウスは、グラミン銀行を創設したムハマド・ユヌス博士(グラミン銀行総裁、ノーベル平和賞受賞)が提唱するソーシャル・ビジネスを日本に普及するため、ソーシャル・ビジネスの拠点として、2011年に旧超伝導システム科学研究センターをリノベーションされました。正式名は、グラミン・クリエイティブ・ハウス(G.C.H)といいます。立ち上げに際して福岡をアジアのソーシャル・ビジネスの拠点とする共同声明「ソーシャル・ビジネス ハブ・イン・アジア」を掲げています。
ファザードには工学部本館と同じ丸い紋の意匠が施され、3種類のスクラッチタイルを使用するなど当時の表現方法を残した貴重な建物です。サグラダ・ファミリア主任彫刻家、外尾悦郎氏が外観監修に係るなど、利活用モデルの先進的事例といえます。施設内には、福祉アート施設・工房まるによる壁画が描かれ、障害者アートの聖地として、たくさんの障害者たちに夢を与える場所になっています。
そのグラミンハウスも残念ながら2015年春、更地化スケジュールに則り解体を迎えました。4月19日に解体前の最後のお披露目を兼ねたお別れパーティが行われ、ワークショップ、トークイベントなど企画されました。イベント後、様々な方面から反響があり、現在は解体が一時延期となっています。
イベントの記録はこちら Thank you! グラミンハウス – 2015.04.19 –
http://hibitema.com/event/thankyougrameenhouse/
2016年10月 解体
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2017.6.23
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2017.6.23
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2017.7.28
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2017.10.2
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2017.10.8
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2017.10.8
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2017.10.11
物件情報
構造規模 | RC造、階数2 |
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状態・コメント | 現在の文化活動が国際交流また地域への一定限以上の貢献を続けていることから、こちらも評価対象に加える必要がある。規模が小さく、立地的にも再活用しやすい建物である。鉄筋コンクリート構造であるが、構造体が著しく劣化しているため、詳細な調査が必要である。 |
今後の取り扱い | 評価C/解体方針。構造的な劣化が著しく、利活用が困難と思われるため、ファザード保存・記録保存等を含めた取り扱いを検討する。 以下の手順を踏んだ上で建物を解体する。 ①解体する建物を広く公開する。(建物の情報・活動歴史の紹介、解体前の撮影会等開催) ②記録保存を適切に行う(映像記録、3次元測定、部材保存) ③研究利用を行う(研究上、価値があるものを対象) ※非公式な見解として一部の専門家は、RCの中性化は進んでいるものの利活用は充分可能とする声もあります。 |
参考文献:「平成24年度 九州大学箱崎キャンパスにおける近代建築物の調査」、「福岡の近代化遺産」
- 経済産業省による「近代化産業
遺産群 続33」に登録された建物 - 平成24年度九州大学箱崎キャンパスにおける
近代建築物の調査において評価をうけた建物 - 更地化されたエリアまたは
現在更地化が進んでいるエリア - 近代建築物の調査において
評価をうけたが解体された建物