農学部6号館/解体終了
もう一つの本館
焼失した農芸化学本館を再築したもので、航空工学教室とならび、インターナショナルスタイルをいち早く取り入れた建築です。長さ70メートル近くの校舎に長い庇と連続窓の大胆なフォルムは、訪問者に強い印象を与えます。当時珍しい地下室を備え、正面玄関の円弧の持送り、建物随所の丸窓の配置、また玄関にはタイルが多用されるなど、遠景の重厚感からは想像しがたい繊細さを持っています。
九州帝国大学の場合、先ず農科大学として構想され、農学部として出来ました。その当時の様子は、農学部門と一直線上に建設されたこの建物が農科大学へのアプローチであり、中心的な存在だったことを表しています。
旧法文学部本館、航空工学教室同様に戦後、進駐軍が撮った写真では、空襲を避けるために黒く塗られた外観が写っています。
物件情報
構造規模 | RC造、階数3、B1 |
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建築面積 | 1,160㎡ |
延べ面積 | 3,375㎡ |
竣工年 | 1938年 |
状態・コメント | すでに多用途的な用途として使用されているため、今後のリノベーションにはかなり期待が出来る。教育施設としてはある程度の耐震性能を有していると言える。耐震性はほぼ満足の値であり、コンクリート劣化も少ない。 |
今後の取り扱い | 評価B/比較的評価の高い建築物で、運営主体による費用対効果を考慮して取り扱いを検討する。 Bグループについては以下の取り扱いをする。 ①事業者が再活用を検討するための情報を公開する ②国・地方公共団体等に公用・公共用の施設として再活用の要望が行われた場合には、優先的に考える ③民間事業者が再活用を申し出た場合には、箱崎キャンパスの記憶を継承する象徴性と費用対効果を踏まえた実現性及び周辺環境との調和性を本委員会で検討し、土地処分を前提とした開発事業者募集前までに、大学において取り扱い方法を決定する ④再活用がなされない場合は、記録保存のプロセスを実施した上で、大学において取り扱い方法を決定する ※事業者が見つからない場合は、評価Cと同じプロセスになると考えられます。 |
参考文献:「平成24年度 九州大学箱崎キャンパスにおける近代建築物の調査」、「福岡の近代化遺産」
- 経済産業省による「近代化産業
遺産群 続33」に登録された建物 - 平成24年度九州大学箱崎キャンパスにおける
近代建築物の調査において評価をうけた建物 - 更地化されたエリアまたは
現在更地化が進んでいるエリア - 近代建築物の調査において
評価をうけたが解体された建物